唯
☆☆☆☆☆☆☆☆☆涼太☆☆☆☆☆☆☆☆☆
愛が俺たちに返事をしてから
唯を追って走っていった。
その背中を眺めていたら
「唯だろ」
龍に言われた。
何の話をしてんのか
分かんなくて聞き返す。
「は?」
「だから、お前の好きな人!」
あぁその話か。って
え!?
このタイミングで聞く話か?
まぁ龍だしな。
「イエス」
「やっぱな。周りから見ててお前が唯に尽くしてんの分かるし」
「そうか?」
「だって唯迎えに来るのやたら早いだろ。お前。いっつもドアの前でチャイム鳴るの待ってんだろ」
バレてたか。
いっつも走っちゃうんだよな。
歩いてても間に合うのに。
唯を好きになったのは
初めて会った時。
唯は五歳の時に
俺んちの隣に引っ越して来た。
そんで、俺んちに挨拶に来た時だ。
母さんとテレビを見てたら
家のチャイムが鳴った。
誰かしら〜?なんて言いながら
母さんが玄関の扉を開けに行った。
俺は全く興味がなくて、
きっと郵便かなんかだろうと思って
テレビに釘付けだった。
そしたら聞こえたんだ。
五歳の唯の
元気な「こんにちはー」って声が。