The world of you and me
エピソードⅠ
「ねっねぇ!」
『…。』
無視ですか。分かっていたけど、無視って。
ソファーの上、私を自分の足の間に座らしているその人。
その人は、何をするわけでもなく私の髪を梳いている。
少しその人のほうに顔向ける。
「っ!ね、聞いてる?」
思っている以上の顔の近さに少し驚きながらも何とか言葉を続けた。
『…。』
が、それも無視。分かりましたよ。
私は不貞腐れ、下を向き目の前にある男らしさ全開の手に視線を向ける。
今日は朝早くに、窓をコンコンと叩く音で若干目が覚めた。
誰が叩いているか分かっていつつも、眠気には勝てずもう一度布団にもぐった。
強く今度は、ゴンゴンと窓の叩く音。
無視だ無視、と。まだまだ寝ぼけた頭で決定して更に布団にもぐり込んだ。
が、
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