The world of you and me
なんだか、泣きそうになり。
「紘…。」
ポツリと呟く。その瞬間、紘がふいにこちらに顔を向けた。
こちらを見るなんて思っていなくて。咄嗟に、顔を枕に埋めるようにした倒れ込んだ。
どうしよう…。泣きそうだとバレてしまっただろうか…。
そんな事ばかり考えていて、
「っ…」
突然の窓を叩く音で、その考えが打ち切られた。
「な、に?」
窓を開け、紘を見た。紘は携帯でまだ、何かを話していた。
『そのことなら、泰斗に聞いてもらえ。…俺が知ったことじゃねぇ。』
紘の冷たい声。待ってっ。紘に聞いてほしいのっ。と女の人の泣きながら縋る声。
この女の人は、素青に縋ることが、我が儘を言うことが出来ている。
私とは違い…。何故だか紘の顔が見れなくて、下を向く。