The world of you and me



なんだか、泣きそうになり。



「紘…。」



ポツリと呟く。その瞬間、紘がふいにこちらに顔を向けた。




こちらを見るなんて思っていなくて。咄嗟に、顔を枕に埋めるようにした倒れ込んだ。





どうしよう…。泣きそうだとバレてしまっただろうか…。




そんな事ばかり考えていて、




「っ…」




突然の窓を叩く音で、その考えが打ち切られた。




「な、に?」




窓を開け、紘を見た。紘は携帯でまだ、何かを話していた。




『そのことなら、泰斗に聞いてもらえ。…俺が知ったことじゃねぇ。』



紘の冷たい声。待ってっ。紘に聞いてほしいのっ。と女の人の泣きながら縋る声。




この女の人は、素青に縋ることが、我が儘を言うことが出来ている。




私とは違い…。何故だか紘の顔が見れなくて、下を向く。








< 12 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop