The world of you and me



「へ!?」



いきなり、顎に手を添えられ、顔を上げさせられる。



その衝動で涙が流れた。



でも、



『それに、俺には大事なオンナがいんだ。お前を構っている時間なんてねぇ。』




私の目を見つめて、ハッキリと告げた紘。



つまらない嫉妬や、寂しさ、怒りで流れた涙がその言葉を聞いてから嬉しさ、幸せの涙に代わった。



『じゃあな。』



ピッと有無を言わさず電話切った紘は、相変わらず私を見つめていた。




『小百合は泣いてばかりだな。』




顎に添えていた手が、右の頬に移動して涙を拭った。



「でっ電話、きっ、てよかった、の?」



『用事が済んだから切った。それにお前に嫌な思いさせてまで話すことなんかねぇよ。』



私を後ろに下がらせ、窓をつたい部屋に入って来た紘。



『おいで、小百合。』



優しく笑った紘が両手を広げた。



その腕の中へと勢いよく抱きつく。



『寂しかったか?』


うん。の変わりに、逞しい紘の胸板に自分の額をグリグリと、押し付けた。


それに答えるように、強く抱きしめてくれる紘。





__大好きな紘の腕の中、もう寂しくなんてない。

< 13 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop