The world of you and me
「へ!?」
いきなり、顎に手を添えられ、顔を上げさせられる。
その衝動で涙が流れた。
でも、
『それに、俺には大事なオンナがいんだ。お前を構っている時間なんてねぇ。』
私の目を見つめて、ハッキリと告げた紘。
つまらない嫉妬や、寂しさ、怒りで流れた涙がその言葉を聞いてから嬉しさ、幸せの涙に代わった。
『じゃあな。』
ピッと有無を言わさず電話切った紘は、相変わらず私を見つめていた。
『小百合は泣いてばかりだな。』
顎に添えていた手が、右の頬に移動して涙を拭った。
「でっ電話、きっ、てよかった、の?」
『用事が済んだから切った。それにお前に嫌な思いさせてまで話すことなんかねぇよ。』
私を後ろに下がらせ、窓をつたい部屋に入って来た紘。
『おいで、小百合。』
優しく笑った紘が両手を広げた。
その腕の中へと勢いよく抱きつく。
『寂しかったか?』
うん。の変わりに、逞しい紘の胸板に自分の額をグリグリと、押し付けた。
それに答えるように、強く抱きしめてくれる紘。
__大好きな紘の腕の中、もう寂しくなんてない。