The world of you and me
それから毎日小百合は遊びにきた。
そして、
「お名前はなんていうの?私ね、小百合って言うの!」
毎日毎日、毎回毎回、俺がどれだけ無視しようが小百合は懲りずに話しかけてきた。
いい加減にウザくなってきたある日の夜。
いつものよう寝ていたら、夢を見た。望月家に来て初めてみた夢。
それは、暗闇に唯一人俺がぽつんと座り込んでいた。
誰一人として居ない、冷たく、酷く寂しい、そんな空間。
そんな空間に堪らなく怖くなり、俺は馬鹿みたいに泣き叫ぶ。も、それに応えてくれる奴はいない。
当たり前か。と、諦めようとした時、前方から眩い光が現れた。
暗闇に差し込んだ光がやけにまぶしく、目を細める。と、
『紘君、おいで』
そこから俺を呼ぶ声が聞こえた。
いつの間にかその暖かい光と声に、ふらふら立ち上がり誘われるがままに足を進めていた。
目を細めつつ、近づくとそこには一人の女の子が…小百合が両手広げて笑っていた。
『紘君は、一人じゃないよ。私が傍にいるよ。』
俺をぎゅっと抱きしめて、背中をトントン、としてくれる。