The world of you and me
それに応えようと、腕を回し掛けた所で夢が終わってしまった。
枕がぐっしょりと濡れている事に気づき、自分の顔をぺたぺた触ってみる。
『っ…』
どうやら、俺は泣いていた。
それに気づいた瞬間、とてつもない孤独感やらが襲い掛かってきた。と、同時に小百合の声が、笑顔が見たくなった。
そんなことを、一日中グルグルと考えていた。
幾度となくドアをみた。
午後三時少し過ぎだろうか。
「紘君っ!あ~そぼ!!」
いつものように入ってきた小百合。
今日一日ずっと待ち望んでいた姿。あるいは、これから先ずっと望み続ける姿。
そして、最早恒例ともいえる、
「お名前はなんていうの?私ね、小百合って言うの!」
嗚呼、俺はなにをこんなに怖がっていたのだろう。差し伸べられている手がこんなに近くにあったのに…
『…さ、ゆ』
すぐ近くにある手をぎゅっと握り、やっとの思いで発した言葉はあまりにも簡単に小百合へと届いた。