The world of you and me



それに応えようと、腕を回し掛けた所で夢が終わってしまった。




枕がぐっしょりと濡れている事に気づき、自分の顔をぺたぺた触ってみる。



『っ…』



どうやら、俺は泣いていた。



それに気づいた瞬間、とてつもない孤独感やらが襲い掛かってきた。と、同時に小百合の声が、笑顔が見たくなった。









そんなことを、一日中グルグルと考えていた。




幾度となくドアをみた。



午後三時少し過ぎだろうか。




「紘君っ!あ~そぼ!!」



いつものように入ってきた小百合。



今日一日ずっと待ち望んでいた姿。あるいは、これから先ずっと望み続ける姿。



そして、最早恒例ともいえる、


「お名前はなんていうの?私ね、小百合って言うの!」



嗚呼、俺はなにをこんなに怖がっていたのだろう。差し伸べられている手がこんなに近くにあったのに…



『…さ、ゆ』



すぐ近くにある手をぎゅっと握り、やっとの思いで発した言葉はあまりにも簡単に小百合へと届いた。




< 21 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop