The world of you and me
泣くもんか、と再度唇を強く噛む。
『小百合』
名前を呼ばれビクつく。
『噛むな』
噛んでいた唇を撫でられた。
『お前が俺を嫌いでも、俺はお前が…小百合が好きだ』
「っ!」
あまりに優しい声色で、そんな事を言うからつい涙がポロリと落ちる。
『お前は?俺のこと好き?』
零れ落ちた涙を優しく拭いながら首を少し傾ける紘。
嘘。嫌いなんて嘘だよ。本当は、
「…好き、大好きっ」
恥ずかしさや、嬉しさやらが混じり合って涙が止まらない。
『何で泣く?』
「だって、う、れしくて、…」
『バーカ』
目じりに落とされた口付け。
―――こんな穏やかで幸せな日々が続きますように、と願う。