不器用な君と私
「あーちゃん。また帰りに来るよ。今日は一緒に帰れるんだろ?」


バイトをしている為、一緒に帰れるのはバイトがない日だけだった。今日は運良くバイトがない日なので、彩は喜んで頷いた。



「じゃあ。また帰りにね。無理はするなよ?」



頭にキスをすると、佑介は3年の教室へと帰って行った。


廊下に取り残される彩と竜也…。



どちらも話そうとしない。



「男見る目ないな」



それだけ呟くと竜也は彩を置いて教室へと入って行く。



すぐには竜也の言葉を理解できなかった彩は、竜也がいなくなった方をずっと見つめていた。



(何で…竜ちゃんにそんな事言われなきゃ…)



「関係ないじゃん…」



彩の絞り出すような声を聴いている人はいなかった。
< 11 / 41 >

この作品をシェア

pagetop