不器用な君と私
校庭を見ていると腕を掴まれた。


ビックリして振り向くと、冷たい目が彩を見下ろしている。


「竜ちゃん・・・手痛い」


振りほどこうとするが、竜也の手はビクとも動かない。


「・・・・・・竜ちゃん?」


何も言わない竜也に、彩は怖くなる。


何も言わず見つめあっていると、竜也の手が緩む。


急いで振りほどけば、掴まれていた場所が赤い。


何でこんなこと・・・?口には出せず目で問えば、竜也は彩から視線を外す。


そしてただ一言・・・・。


「悪かった」


それだけ言うと、教室から飛び出していった。


その後遅れてきた佑介と帰ったが、彩は竜也の事ばかり考えてしまい、何をしたかあまり覚えていない。


彩の様子を怪しんだ佑介も聞こうとはしなかったが、佑介が教室に行く時すれ違った竜也を思い出していた。


(アイツが・・・何かしたか・・・)

チッと舌打ちすると、どうやって彩から竜也を離すか考え始める。
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