不器用な君と私
教室を沈黙が支配する。



あまりに重い空間に、彩はいつもより元気よく竜也に声をかける。



「タバコで停学だって?」



停学になった人は指導部で一日を過ごすため、彩たちが会う事は滅多にない。



彩が竜也を見れば、竜也はまだ外を見ている。



今日の空は・・・・真っ青な綺麗な色をしていた。



「竜ちゃん・・・・?」



彩がそう呼べば、竜也の空気が少しだけ緩んだ。



「見つかると思わなかったからな・・・・」



いつもはきちんと置いてくるタバコを忘れて持ってきてしまう程・・・あの日は悩んでいた。



「やめなよって何回も言ったのに、やめなかった竜ちゃんが悪いんだよ?」



タバコが嫌いな彩は竜也が吸うたび言っていたが・・・・竜也はやめなかった。




「悪い・・・。これを機にやめようかな」




溜息をはきながら言えば、彩の顔が明るくなる。
< 35 / 41 >

この作品をシェア

pagetop