不器用な君と私
それから真面目に課題に取り組めば、いつの間にか夕方になっていた。



「お前らー!!今日はもう帰って良いぞ?」


重岡が二人の様子を見るついでに、課題の成果を見て帰る許しをくれる。



これ幸いと帰る準備をして教室を出れば・・・・


「明日からも頑張れよ?」



聞きたくもない言葉が背中から聞こえてくる。



「彩は今日はバイト?」



夕方の廊下はとても静かで、二人以外誰もいなかった。


「そうだよ!!働いてお金稼がなきゃねー!!」



夏休みは稼ぎ時だー!!!とバイト禁止の学校で叫んでいる。



今指導部の教師に見つかれば、彩ももれなく停学だろう。



「じゃぁ・・・バイト先まで送るよ」



優しい竜也の声に足を止めれば、竜也が夕日のせいか赤く見える顔でこちらを見ていた。



「大丈夫だよ?歩いて10分くらいだし」



彩のバイト先は家と学校のちょうど中間にある。



皿洗いという裏方の為、教師にはばれていないが・・・・こんな近くでよく働けるねと奏たちにはよく言われる。




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