不器用な君と私
それでも送っていくと竜也が言おうとした時・・・・。



「大丈夫だよ?俺が送っていくから」


竜也が今一番見たくない男・・・・佑介がそこには立っていた。



「佑先輩・・・・?どうしたんですか?」


彩が驚いたように、佑介に走り寄るが・・・・佑介はまだ竜也を見ている。



「鈴木君だっけ?俺があーちゃん送るから大丈夫だよ?」



いつも優しい佑介の笑顔なのに・・・彩には違う人に見えた。



「佑先輩・・・?」



彩が声をかければ、いつものように佑介は彩の鞄を持ってくれる。


「ほら?早くしないと間に合わないよ?」


佑介が時計を指せば・・・・バイトまで30分しかなかった。


いくら歩いて10分とは言え、着替えたりもしなければいけない。



彩は急いで靴を履きかえると、竜也に向き直る。



「送ってくれるって言ってくれてありがとう。じゃぁ・・・また明日も課題頑張ろうね?」




何も言わない竜也を気にしながらも・・・バイバイと告げ、彩は佑介に手をひかれ走って行った。



その時竜也がどんな顔をしていたか・・・・彩は知らない。
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