不器用な君と私
二人を教室から追い出すと、クラスには数人しか残っていなかった。



ほとんどが学食派な彩のクラス。



弁当派の人たちは、思い思いに過ごしていて、一番後ろの彩の事など気にも留めていないようだ。



そこに…ドサッ。



人が座る音がした。しかも…地べたに。



「竜ちゃん…また遅刻?」



当たり前の様に遅刻してくる竜也に溜め息をつきつつ、彩は竜也に久しぶりと声をかける。




竜也は久しぶりに見る彩の変わりように驚いて言葉が出てこない。



-ヒラヒラ-



彩が竜也の前で手を振るが、全く気付かない。



「竜ちゃーん?大丈夫?頭いっちゃった?」



失礼極まりない彩の言葉に、覚醒した竜也の鉄拳が飛ぶ。



-ベシッ-



「痛いー!暴力反対!!!!」



涙目になりながら抗議する彩の事などおかまいなしな竜也は、相変わらず彩に対してだけ俺様だった。
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