木漏れ日から見詰めて
第一章 紺野なぎさ

1.出会い

 人に迷惑をかけることがこんなにもつらいことだなんて思わなかった。

 責任は自分にあるのだから文句なんて言えない。

 言う相手もいないけれど……。

 私の生活環境は良いとはいえない。

 四畳半一間でトイレが共同。

 しかも漆喰の壁のひび割れた部分に触れるとポロポロ剥がれ落ちてくる。

 ワラジムシやクモが畳の上を優雅に闊歩し、一日一回は必ず挨拶にやってくる。

 食べ物は菓子パンを少しずつかじって一日持ちこたえるのがやっと。

 体は日に日に痩せていき、400メートル先のコンビニに通うのも体力の消耗を感じる。

 でも、現状には満足している。

 なにより部屋の窓から見える景色は私の宝物。

 というより生きがい。
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