木漏れ日から見詰めて
「余計なお世話だ」
 ぼくはクルリと背を向けて会話を打ち切り、花岡を開放した。

 ただ、一抹の不安がある。

 このままだと明日になれば学校の裏サイトで『紺野さんに新たな男の陰』からはじまる恋愛ネタがネットを賑わすかもしれない。

「ネットに流すなよ」
 振り向いて釘を刺す。

「君塚が紺野さんが好きだってこと?」
 花岡が不思議そうな顔をして尋ねる。

「ああ」
 返事をしたあとで“しまった!”と思った。

 紺野さんを好きだと認めてしまった。

 まんまと花岡の作戦に引っ掛かった気がした。

「そんな面白くもないネタ流さないわよ」
 花岡が挑んでくるような顔をしてぼくを睨んだ。

 半分キレている。

「信じられるか」
 売り言葉に買い言葉で応酬して花岡とケンカ別れした。

 紺野さんと菱沼先生の密会を隠す時間を稼げただけ良しとしなければいけない。
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