木漏れ日から見詰めて
「なに?」
 予想どおり、不機嫌な顔で花岡が振り向く。

「元気かなと思って……」
 心にもないことがポロッと口から出た。

 花岡のことなんか気にもとめていないのにある目的のためなら人間はなんでもしてしまう恐ろしい生き物だと認識した。

「学校に来て同じクラスで毎日顔を合わせているんだからいちいち答える必要はないでしょ」
 花岡の目に映っているのは明らかに不信感で払拭するのは困難な状況に思われた。

 そういえばケンカ別れしてから口を利いていない。

「そうだね」
 頭を下げ、照れながら次の展開へ話を進めるために頭の中を整理していると先に花岡が切っ掛けをつくってくれた。

「最近私の方をチラチラ見てるでしょ?なにか聞きたいことでもあるの?」

 気づかれないようにさりげなく見たはずなのに花岡美紀の洞察力はあなどれない。

 どんなささいな噂でも聞きつける耳も恐ろしいし、隠し事なんてできそうもない。
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