木漏れ日から見詰めて
 この際、おれは勇気を出して訊くことにした。
「紺野さんは……いまどうしてるのかな?」

 ぼくが質問すると花岡はため息をついた。
「自分で調べればいいじゃん」

「それはそうだけど……」
 正論を突きつけられ、ぼくはしどろもどろになり、優柔不断な男に成り下がった。

「そんなに紺野さんのことが知りたいの?」
 花岡は腕組みをしてぶ然としている。

「クラスメイトを心配することがいけないことなのか?」
 ぼくが非難するように責めると、花岡は一瞬怯むような顔をした。

「しょうがないわね……私も紺野さんのことについては責任感じてるんだ」
 花岡の口から反省の言葉が出てきた。

 彼女なりに心に痛みは感じているようだ。

「偶然出会ってビックリしたんだけど紺野さんは学校に来なくなってすぐにスーパーでレジのバイトをしてたのよ」

「どこのスーパー?」

「慌てないで最後まで聞いて」
 花岡が嗜める。
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