雑種と呼ばれて
「…ひとつだけ言っておきます。」
部屋を出る前に、中島さんが静かに口を開いた。
「あなたに動物を飼う資格はありません。
…二度と生き物を飼わないでください。」
その言葉には、中島さんの長年見てきた光景が浮かんでいた。
犬ブームの裏に隠された、ブリーダー業を放棄した人間。
その犬達は、誰1人世話をする者が居ない中で、ゲージに閉じ込められたまま生きているのだ。
食べ物も無い中で。
または、間違った しつけ方で育てられ、過剰なストレスに支配されてしまった犬達。
捨て犬達の存在。
中島さんは、それらを嫌という程 見てきたのだ。