私は貴方に、叶わない恋をした。
「!!」
「え···おわ!!」
勢いよく扉が開き、ドアノブを持っていた手が準備室側に引っ張られた。
「びびった…」
安定を崩した身体は、準備室へと倒れそうになった。
「あー…良かった」
その身体を受け止めてくれたのはー…
「大丈夫か?」
先生だった。
ドキン!
「…っ」
大きな身体に、すっぽりはまる私の身体。
温かいー…
密着した身体から、先生の心臓の音が聞こえる。
ドクン、ドクン、ドクン。
「…」
心臓の音が早い?
私の?それともー…先生も?
「永井!」
「!」
肩を持たれ、身体が離された。
「あ…ごめんなさい」
夏だというのに、密着していた身体の部分がひんやりと冷たく感じた。
「いや…」
久しぶりに先生と会ったのに…ー
「それより、課題はできたのか?」
まだ一度も、目を合わせてくれない。
「なかなか提出しに来ないから、気になっ…いや、俺もそろそろ帰るから早く提出してくれ」
"帰るからー…"
そんなに、奥さんのいる家に早く帰りたいんだ。
「…永井?」
そうだよね…
当たり前だよね。
奥さんのこと、愛してるんだもん。