私は貴方に、叶わない恋をした。
「でも、補講だから少し減点な」
「ずっ…はい…」
先生の背中に向かって、小さく返事をした。
「…あと…」
「…?」
「俺を好きだからって、わざと補講を受けたのも減点だ」
「…」
やっぱり…
気付いてた。
「…すいません…でした」
どうしよう、また涙がー…
「ふっ…」
早く、帰ろう。
これ以上、先生と一緒にいるのは辛い。
鞄を持ち、速足で美術室から出ようとする。
「待てよ、永井!」
ビク!
が、大きな声で呼び止められた。
速足だった足もピタリと止まり、 涙も驚いて止まってしまった。
「…こっち、向け」
ドキン。
「…」
先生の問い掛けに、首を振った。
「向けって!!」
ビク!
さっきとは違う、力強い大きな声。
…先生、怒ってる?
躊躇しながら、恐る恐る顔を先生の方に向けた。
「…!」
課題が置いてあった席に、先生がいなかった。
先生が今、いる場所はー…