私は貴方に、叶わない恋をした。
「イヤ」
そう言いながら、先生を後ろから抱き締めた。
「…イヤって子供かよ」
見向きもしないで、先生はもくもくと仕事を続ける。
…ねぇ、先生。
「…せっかく、一緒にいられるのに…」
仕事ばっかりしてないで、私を見て。
そんな想いも込めて、めいいっぱいに抱き締めた。
なのに…
「…周りに怪しまれる。だから、早く帰りなさい」
先生から返ってきたのは、淡々とした口調で発せられた言葉。
「…なによ…」
気持ちの温度差に、イラッとした。
どうして、そんなこと言うの?
私たちが二人っきりになれるのは、今の時間しかないのにー…
「…永井?」
「見ないで!」
急に黙ったのが気になったのか、先生が顔を後ろに向けた。
それを阻止するかのように、手で先生の目を覆った。
「ふっ…」
イライラして、泣けてくる。
先生が言ってることは、間違ってない。
わかってる。
わかってるけど…
こういう時間じゃないと、先生が私のものだって実感できないじゃんー…