私は貴方に、叶わない恋をした。
先生の目を覆っていた手が離され、キィっと音を立て、椅子が動いた。
「体調悪いフリして、保健室で待ってろ」
頬に流れ落ちる涙を拭いながら、先生が言った。
「え?」
「仕事が片付いたら、迎えに行く」
「…」
「一緒に帰ろう?」
「…っ」
優しい笑顔を見せながら、先生の手が頬を包み込んだ。
コクリと頷くと手が離れ、先生は再び机に向かった。
"一緒に帰ろう"
「先生…待ってるからね」
背中にそう告げると、準備室から出て保健室へと向かった。