私は貴方に、叶わない恋をした。
駐車場に着くと、先生の車に乗った。
「何だよ?助手席に乗らないのか?」
「あ…うん」
乗る前に悩んだ。
助手席は、奥さんとか彼女が座る場所って聞くし…
それに…誰かに見られたらー…
「体調悪いフリしとけって言っただろ?」
「あ…」
「大丈夫だから。助手席座れよ」
ぽんぽんっと助手席を叩きながら、先生が言った。
「…はい」
小さな声で返事をすると、助手席へ座り直した。
「変なとこで遠慮するよな」
「だって…」
「周りから見たら、俺たちが付き合ってるなんて思ったりしないよ」
「…そう…だけど」
なんか、それもそれでショックだな…
「泣くなよ?」
「…泣いてない」
「永井は、意外と泣き虫だからな」
「泣き虫!?」
「そう。さっきも、泣いてたじゃん」
「う…」
「ま、そういうとこも可愛いけどな」
「!」
"可愛い"
運転している先生の横顔を見ると、耳が少しだけ赤くなっているのがわかった。
「…」
…どうしよう。
「あ、お前ん家ってさ…」
キスしたい。