私は貴方に、叶わない恋をした。








コンコン

「…失礼します」

「入れ」


昼休み、悶々とした気持ちを抱きながら美術準備室へと向かった。


「悪いけど、あそこにある美術課題を教室に持ってって」

「あ、はい」



先生は机に向かったまま、一度もこっちを見ようとしない。



「…っ」



どうして?



「…どうした?」


黙ったまま突っ立っていると、先生がやっとこっちを向いた。





どうした?って聞きたいのは、こっちだよ。



「…昨日、どうしてキスしてくれなかったの?」


何もなかったように、スルーしてさ。


「今日は今日で、何事もなかったかのように平然としてて…」


気にしてるのは、私だけ。



両想いになれたと思ったのに、片想いの時みたいに苦しい。



「ねぇ…先生、答えてよ」



早く、この苦しさから解放してよ。




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