私は貴方に、叶わない恋をした。


その言葉は今の私の心に、深く刻まれる。


「だからって、そういうのを否定するわけじゃないよ」

"よいしょ"と言いながら、ヤスが立ち上がり…

「人の感情はいつ変わるか、わからない」

飲み干したペットボトルを、ゴミ箱に捨てた。


「だから、今は叶わないかもしれないけど…いつかは、叶う日がくるかもしれない」

そして、ソファーへ戻ってきた。

「頑張ってみれば?最初から諦めてちゃ、何も進まないよ」


ぽんぽんっと頭を撫で、ヤスは優しい笑顔を見せた。



「…っ」



ヤスの優しさに、涙が出そうになる。




けどー…




"不倫関係の、何がいいことなんだ!?"




だったら、どうして受け入れてくれたの?


あの時、どうして振ってくれなかったの?


叶ってほしいと強く思うほど、苦しくなる。



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