私は貴方に、叶わない恋をした。
「あ、ヤバい。洗濯よせないと」
窓の外を見ると、雨が降り始めていた。
「通り雨か?」
ベランダに出たヤスが、空を見上げながら言った。
その様子を、ソファに座ったまま見た。
太陽での光りで髪がキラキラし、雨に濡れてより神秘的に見えた。
「黒髪にするの、勿体無い..」
今日初めて話したけど、ヤスは優しくて綺麗な人だと思う。
「やっぱ、通り雨か」
ヤスが部屋に洗濯ものを取り込み終わる時には、雨はやんでいた。
「まぁ、乾いてたからよかった」
干していたタオルで髪を拭きながら、ヤスが戻ってきた。
「…金髪、染めちゃうの?」
「ん?あぁ…しばらくは、このまま」
「え、でも…」
「"勿体無い"から」
「え!?」
聞こえてたの?
「ねぇ。どうして、金髪でいて欲しいの?」
髪を拭き終えたタオルを肩にかけ、ヤスが聞いてきた。
「え?」
「どうして?」
真っ直ぐ目を見つめ、ヤスがジリジリと迫ってくる。
「言えないこと?」
「そんなこと…っ。言う!言うから、ストップ!」
唇まで後、数センチというところでヤスを制止させた。
何で、近付いてくるー…
「…」
ドキドキと高鳴る心臓を抑えながら、喋り出す。