私は貴方に、叶わない恋をした。
有無を言わせない、ヤスの真面目な表情。
「…っ、でも…」
「沢せんせーも、そうだよ」
"沢せんせー"という言葉に、ピクリと身体が反応した。
「え…」
どうして今、沢先生がー…?
「永井を受け入れるか、受け入れないか決めたのは、沢せんせー」
「…」
「最終的に決めたのは、沢せんせーなんだよ」
ドクン。
「だから、永井が一人だけ悩むのはおかしい。責任感じたり、罪悪感でいっぱいになるのも」
ドクン。
ヤス…
「もしかしたら、沢せんせーも…」
「え?」
「いや、何でもないよ。だからさ、そんな気にしなくてもいいってことだよ」
肩にかけてたタオルで、ペチっと顔を叩かれた。
「そろそろ送る。遅くなると、マズいだろ?」
「あ…うん」
「着替えてくる。ちょっと待ってて」
そう言うと、ヤスは部屋から出て行った。
「…」
"もしかしたら、沢せんせーも…"
ヤスは、何を言いかけたんだろう?
「お待たせ。行こ」
「あ、うん」
そんな疑問を抱いたまま、ヤスと別れた。