私は貴方に、叶わない恋をした。
「せっかく描いた作品だったのにな。間に合わなくて、ゴメン」



びしょ濡れになった先生が、私より悲しい顔をして謝るからー…


ズキン。

「…いえ」


「乾かしても無理だろうなぁ」


プールサイドに上がった先生が、作品を眺めながら溜め息をついた。


「しょうがないけど…夏休み、補講決定だな」

「…はい」


嬉しい気持ち半分…


罪悪感が半分。



「あー!!やべっ。着替え持ってなかったんだった」

びしょ濡れになった洋服に、先生の顔が青ざめていく。


「…ごめんなさい。私のせいで」


「いや、俺が勝手に飛び込んだんだ。気にするな」


濡れた髪を掻き上げながらながら、先生が言った。

そんな姿が、不謹慎だけどカッコイイと思ってしまった。


「…」



太陽の光が照らすプールサイド。


髪を掻き上げる先生の指にはー…




太陽の光に反射し、いつもより眩しく感じる結婚指輪。







…そう。






沢先生は、2年前に結婚している。




私が、出会う前にー…







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