私は貴方に、叶わない恋をした。
どうして、先生がここに…
「ちょっと、来いよ」
扉の上にのぼってこいと、呼んでいる。
「…はい」
家から出るまで、先生に会いたくないと思っていた。
けど、いざ本人の前になるとー…身体が勝手に動く。
「危ないから、座っとけ」
「はい」
先生の隣に、少し距離を空けて座った。
「…」
「…」
しばらくの間、沈黙が続いた。
先生に聞きたいことは、たくさんあるはずなのに。
どう切り出していいのか、わからない。
膝を抱え、俯いているとー…
「…加藤も本当は、3日間の謹慎処分だったんだ」
先生から話し始めた。
真っ直ぐ、前を向いたまま。
「けど、髪が金髪のままだったから家に帰した。黒髪になるまで、学校には来ない」
ドキン。
ヤスが黒髪に染めないのは、私のせいだー…
「ヤスの謹慎の理由も…私の謹慎の理由もー…あの時の、屋上のことが原因ですか?」
こちらを一度も見ない、先生の横顔に問いかけた。
謹慎の理由なんか、それぐらいしか思いつかない。
「…あぁ。それが一番の原因だ」