私は貴方に、叶わない恋をした。
「超カッコイイじゃん」

「あんなイケメンいたんだ!?」

「噂されても、いいかも…」

さっきとは違う反応で、キャーキャーと女子生徒たちが叫んでいる。



ヤス…良かった、元気そうで…

ほっと胸をなで下ろしているとー…


バン!

「きゃっ…」
「何?」

机を叩く大きな音がした。

生徒たちの視線が窓の外から、教卓の前に行く。


「いい加減、席に着け!もう、授業始まるぞ!」


眉間にシワを寄せ、怒った口調で先生が言った。

「…」

慌てて窓際にいた生徒たちが、自分の席に着く。




「…以上。ちゃんと勉強しろよ」


眉間にシワを寄せたまま、先生は教室から出て行った。



「沢先生が怒るのって、珍しくない?」

「今日、機嫌悪いのかな?」


先生が出て行った後の教室は、ヤスの話題はもうなかった。


何で怒ったのかは、わからないけど…今はー…


「あゆ、さっきの…って…また!?」



ヤスに、会いに行かなきゃ!



「…ぁ…はぁ…」


教室を飛び出し、昇降口へと向かった。



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