私は貴方に、叶わない恋をした。


「加藤…お前は、何を考えてるんだ」

ため息混じりの先生の声が、背後から聞こえる。

「さぁ?とりあえず、ドア閉めたら?」

クルッと振り返り、先生と向き合う体勢になった。

「沢せんせーも聞かれたら困るでしょ?」

ドクン!

「っ…ヤス!」

強くヤスの腕を引っ張ったが、こっちを見てくれない。

恐る恐る先生を見ると、無表情のままドアをゆっくり閉めた。


いつもは気にしないドアの音が、耳に響く。

「・・・で、何の用だ?」

先生の低い声が、心に響く。


「わかってるくせに。逃げるなよ」


ヤスの声のトーンが、さっきと違う。

内側に怒りがこもっているような・・・そんな声。

「・・加藤、お前には関係ないことだろう」

「あるよ」

「どうしてだ?」

「だって俺、永井が好きだもん」

「!?」

唐突な発言に、目を見開いてヤスを見上げた。

え・・・ヤスが私を好きってー・・・え!?

言いたいことがあるのに、驚いて声もでない。

知らなかった・・・でも、先生はどう思うのかな?



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