私は貴方に、叶わない恋をした。
私が沢先生を好きになったのは、入学式のときだった。
式の最中に貧血で倒れた私を、保健室まで運んでくれたのが沢先生。
その時の私は、緊張と生理痛が重なり、最悪の状態だった。
意識がもうろうとする中、保健室のベットで寝ている私の髪を優しく撫でてくれた。
「ゆっくり寝てな。もう、大丈夫だから」
安心させるように言ってくれた先生の、言葉。
入学式で緊張と不安でいっぱいだった心を、ときほぐしてしてくれた。
目が覚めてから、自分の担任だということを聞いた。
その時から私は、先生に恋をした。
けどー…
先生が結婚していると聞いたのは、GWが過ぎた頃。
友達と街を歩いていたときに、先生を見つけた。
声を掛けようかと思って、近付いていったら女の人がいた。
先生と手を繋いで、幸せそうな顔をしてー…
その時点では彼女かなって思ったけど、GWが終わり学校が始まるとその少しの望みも消えた。
薬指の結婚指輪。
どうして今まで気付かなかったのだろうか。
もっと早く気付いていればー…
こんなに好きになることは、なかったかもしれない。