色をなくした世界
和哉がいないこの世界で・・・。

辛い事や悲しい事が多すぎるこの世界で・・・・。

それでも和哉の分も生きろ・・・。

雄大の目はそう言っていた。


そして気付く・・・。雄大はそれを伝えるためにきたのだと。和哉を失い、後を追うかもしれない雪乃に、それは和哉が喜ばないと。

雪乃以上にお互いを理解していた和哉と雄大。その仲の良さに時々雪乃は嫉妬したものだ。

だからこそ言いに来た。

和哉はそれを望まない・・・・と。

雪乃が返事をしない事に焦りを感じつつ、雄大は雪乃から目を逸らさなかった。


部屋に嫌な沈黙が流れる。


沈黙を破ったのは、ずっと下を向いていた雪乃だった。



「努力はする。それでもどうしても無理だったら・・・お願いだから止めないで」


それ以上は雄大には言えなかった。


雪乃は努力をすると言った。雪乃が一度言った以上約束は守るだろう。

ただ・・・それでも無理だったら許してほしいと彼女は言ったのだ。

どうしても無理だったら・・・彼の元へ・・と・・・。


そんな雪乃に雄大は頷く以外に、かける言葉が見つからなかった。


そしてその後は嫌な空気を払拭するかのように、酒を飲み、昔を語らい、笑って和哉を見送った。
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