色をなくした世界
心の場所
何が悲しくて泣けてくるのか・・・・雪乃にはもう分からなかった。


(何で・・・何で・・・・)


雪乃と雄大の家は歩いて15分・・・・雪乃はどうやって帰ってきたのかも覚えていない。


家の近くに来た時・・・携帯が鳴った。


一瞬雄大からかと思い、名前を見てみれば


【一馬】


今は出る気がしなかった。


家に帰れば梓がいる為、こんな泣いた姿では帰れないと思う。


雪乃は家の前にある公園に行ってみた。


住宅地にある為か、少し小さい公園はブランコと滑り台と鉄棒しかない。


ブランコに座れば・・・キィィと錆びたような音がする。


「・・・・・・・・・」


ブランコを一回こぐたびに涙が一回一粒零れ落ちる。


「いつから・・・・・」


好きだったんだろう・・・・


「どれほど・・・・」


苦しめたのだろう・・・・・


あんなに優しい人を・・・・あそこまで覆い詰めてしまったのは・・・


「わたしだ・・・・」


そう呟いた時・・・・またも携帯が鳴りだした。
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