色をなくした世界
「雄大君の事・・・・今はどう思ってるの?」


雪乃の目が一瞬遺影を見た気がした。


「雄大君と付き合いたいの?それとも一馬君?」


こういう時の梓は遠慮せず聞いてくる。雪乃も気を使われるよりそちらの方が有難かったが・・・今回ばかりは答えに困る。


「分からない・・・だって和君がいなくなってまだ・・・」


もうすぐ一年だ。


恋をするには傷がありすぎて・・・


けれど人を知るには十分な時間・・・


「私は別に雪が誰と付き合おうと構わないの。誰とも付き合わないって言うならそれでも良いと思う。でもこのままじゃ駄目だって思ったんでしょ?だから・・・」


泣いていた。


「私は雪が幸せならそれで良いの。ずっと一緒に育ってきたんだもん。いつだって幸せを願ってるよ・・・私は雪の味方だよ?例え世界中の全てが雪を悪いと言っても、私だけは言わない。だから・・・思うように生きな」


親友とは親しい友。親よりも親しい友・・・・。



辛い時一緒に乗り越えてきてくれたのは・・・いつだって梓だった。


「アズ・・・・アズ・・・・」


大声で泣き出す雪乃をはいはいと頭をなぜ落ち着かせる。


「アズ・・・アズ・・・ありがとう・・・アズ・・・・」


泣き続ける雪乃を梓はずっと抱きしめていてくれた。
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