色をなくした世界
次の日・・・・雪乃はしっかりと熱を出した。


39度ある頭を梓が貼ってくれた冷えピタが一生懸命冷ましている。


「会社に電話しておくけど・・・・やっぱり私休もうか?」


看病の為休むと言ってくれた梓だったが、仕事を第一にと断った。


生きていくためには、働かなければいけない。


「大丈夫だよ!!!残業せず帰って来てくれれば・・・それで良い」


流石に深夜までほっとかれたら寂しいが、定時に帰って来てくれればそれだけで安心だ。


手を振り追い払う雪乃に、おかゆ食べなよと声をかけ梓は会社に向かった。





-会社-


雄大がある決意を固め会社に行くと、青山が鬼の形相で雄大を待っていた。


「おはよう・・・ございます・・・」


あまりの迫力に一瞬殺されるかと思ったが、首を掴まれるだけで何とか助かる。


「ちょっと来い・・・」


そう言って雄大は自動販売機の前まで連れてこられた。


いつも雄大が雪乃に差し入れのコーヒーを買っていた場所だ・・・。


雄大が自動販売機を懐かしそうに眺めていると、青山が雄大の頭を叩く。


「お前・・・雪乃ちゃんに・・・」


その時雄大は気付いた。雪乃が青山に言ったのだと・・・。
< 116 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop