色をなくした世界
何か言われる前にきちんと謝ろうと頭を下げれば、さらに鉄拳が飛んでくる。


それだけの事をしたんだ・・・そう思っていると、青山から思わぬ言葉が飛び出した。


「お前・・・雪乃ちゃんに・・・・風邪うつしたな・・・・」


はぁ?と顔を上げれば、青山の目はすわっている。


「一緒に住んでる子から電話があった。昨日のよるから熱が39度あるから、熱が下がるまではやすませてほしいって・・・お前のせいで・・・・」


雪乃が熱を出したと言うのは衝撃だった。


そりゃあれだけ近付けば・・・・うつるかもしれない。


相手はなんていったて、最弱の雪乃である。


大学の頃バイト先で子供しかあまりかからないと言われるインフルエンザをもらってきたような子だ・・・その後もなかなか治らず、肺炎一歩手前まで行って入院していた。



「・・・雪乃ちゃん体弱いんだろ・・・?お前のせいで何かあったら・・・俺は・・お前を・・・」


絶対に殺してやる。目がそう語っている。


青山ならやりかねない・・・・雄大は背筋が凍るような気がした。


青山の話が途切れ、雄大が口を開こうとした時・・・・一馬が社長が青山を呼んでいると伝えに来た。


青山は覚えておけよと捨て台詞を残し走り去っていく。


そこには・・・一馬と雄大だけが取り残された。
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