色をなくした世界
「私は雄大君と生きていきたい・・・・この世界で」



そう言い切った雪乃の顔に、もう迷いはなかった。



「それを・・・梓に知ってもらいたかったの」


一番側にいてくれた梓に・・・とは恥ずかしくて言えなかったが・・・伝わったらしい。


梓の顔が真っ赤だった。


同じくらい・・・目も真っ赤だったが・・・。



「この・・・おバカ・・・・ずっと心配してたんだから・・・」


そう言うと泣き出した。


「心配ばっかりかけて・・・・このバカ。バカ雪。雪だるまー!!!」


最後は悪口なのかなんなのか・・・でもそれだけ梓は心配していたんだと思うと・・・雪乃も泣けてくる。



「ごめんね・・・ごめんね・・・心配かけてごめんね・・・」



お互い抱きしめあって泣き続ければ、昔雄大と和哉を思って泣いた時のように、ひどい顔になっていた。



「アズ・・・鼻水でてるよ?」


「雪・・・化粧とれて黒い涙が出てるよ?」


泣きながら笑う二人の姿は、他の人が見たら怖いものがあっただろう。


その夜二人は同じベッドで手を繋いで眠った・・・幼かった頃のように。
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