色をなくした世界
雄大が疲れた体を引きずり家に帰れば・・・ポストに見慣れない便箋が入っていた。


ほとんど誰にも住所を教えていない為、ポストに届くのはカードの明細やチラシばかりだった。


(・・・他の部屋と間違えたのかな?)



そう思い手紙を見れば・・・雄大の手が止まる。



「雪・・・・ちゃ・・ん・・・?」



他にもポストに入っていたが、それらを取るのも忘れて雄大は部屋へと急いだ。



部屋に入り、ベッドに座って読もうと思うが・・・怖くて見れない。



3年ぶりにきた彼女からの連絡・・・・。



時たま届く青山情報メールでは、一馬と仲が良いと毎回書いてあった。



もし一馬との結婚を報告するものだったら・・・だから手紙で来たのではないかと思うと・・手が震えてなかなか読む決心がつかなかった。



「この時代に・・・・手紙って・・・雪ちゃん・・・」



便箋は彼女らしい雪の結晶のものだった。



彼女は自分の名前になぞらえたものをよく使っていたなと・・・そんなどうでも良いような事を思い出す。



よし!!!パチンと自分の頬を両手で叩き・・・雄大は便箋から手紙を取り出した。
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