色をなくした世界
『雄大君へ


元気ですか?


私は元気にしています。


雄大君に手紙を書いたのは・・・会って話したい事があったからです。


もし雄大君がまだ・・・私の事を思ってくれているのなら、和君の命日に一緒にお墓参りに行って下さい。


場所はよく待ち合わせした駅前で・・・12時頃待ってます。



住所は青山さんに勝手に聞いてしまいました。ごめんなさい。


では・・・。

 
                                    宮田雪乃』




久しぶりに見る雪乃の文字は昔と変わらず、綺麗なのにどこかクセのある文字だった。



雄大は読み終わるとすぐにでも雪乃に電話したくなったが・・・気持ちを一生懸命に抑える。



雪乃は和哉の命日に会いたいと言ったのだから・・・。



住所は青山から聞いたと書いてあったが、その時に雄大の予定も聞いたのだろう・・・。



雄大は和哉の命日には必ず墓参りの為休みをもらっていた。



本当は二回ほど・・・墓参りをする雪乃を遠くから見た事がある。


< 166 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop