色をなくした世界
「結局雄大君の所に決めた」



在学中に和哉と結婚した雪乃は働いた事がなく、そんな雪乃を雇ってくれる会社もなかった。




そんな時、雄大が「だったらうちで雑用しなよ」と言ってくれたのだ。



「会社は男の人ばっかりみたいで、女の雑用が欲しかったんだって」



面接に訪れた時は、今にも雪崩が起きそうな本やお皿にビックリしたが、人はとても優しかった。



雄大から和哉の事を聞いたのであろう社長は、「自分のペースで良いから」と励ましてくれた。



そして働いた事がないという雪乃を優しく迎え入れてくれた。



雄大曰わく、締め切り前は鬼のようになるらしいが…まぁやっていけるだろう。




「そうなんだー。でも安心した」



心底ホッとしたように梓は雪乃を見ている。
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