色をなくした世界
それで終わっていた・・・。



途中から涙で視界はぐちゃぐちゃで・・・最後まできちんと読めなかった。



「和哉・・・和哉・・・必ず約束守るから・・・・雪ちゃんを返してくれよ・・・雪ちゃんを連れて行くなよ・・・・」


死ぬことを予知していたとは思わない。



それでもこの手紙は・・・・まるで自分の死が分かっていたように書かれている。




そして・・自分がいなくなった後は・・・どうか雄大にと・・・。



仲の良かった二人・・・和哉に何かあれば後を追うと思っていたから・・・和哉は万が一を思い雄大にこの手紙を託したのだ。



雪乃と和哉が仲が良かったように・・・自分と和哉も仲が良かった・・・・。



雄大の気持ちを知っていた和哉・・・。



今はこの手紙がとても重かった。



「俺だって・・・雪ちゃんを幸せにしてやりたいよ・・・でも・・・雪ちゃんがいない・・・雪ちゃん・・・雪ちゃん・・・戻って来てくれよ・・・」


もうそれしか言えなかった。


「雪ちゃん・・・雪ちゃん・・・逝くなよ・・・」


泣いても叫んでも・・・雪乃は戻ってこない。


それでも呼び続けずにはいられなかった。


「雪ちゃん・・・雪乃・・・・逝くな・・・」
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