色をなくした世界
雪乃の目から涙が零れた・・・・。



「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・・」



泣きながら謝る雪乃の姿が悲しかった。



泣かせているのは自分・・・泣きやませてあげる事が出来るのは・・・雄大。



今まではいつだって自分が雪乃の涙を止める役だったのに・・・。



少しだけ雄大への嫉妬が胸を燃やすが・・・・自分が言える事ではない。



雄大の気持ちを知っていて奪ったのは自分。



雪乃を残して先に逝ってしまったのも自分。



そして・・・そんな雪乃を支えたのが・・・・雄大だった。



「雪乃泣かないで・・・泣きやまないと・・・・心配でおいていけないよ」




雄大の元へ戻りたいんだろ?と聞いてやれば、雪乃の顔はみるみる赤くなる。



「はぁ・・・大好きな奥さんを他の男に取られるのは癪だけど・・・・雄大なら仕方ないな・・」



それが和哉の答えだった。



雄大なら仕方ない。雪乃を任せられるような男は雄大以外いなかった。




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