色をなくした世界
それじゃぁ・・・送りますか!と和哉は体を起こす。


「期限は3日だったんだ・・・その間に雪乃が僕と逝くって言えば、連れて行くつもりだったんだけど・・・」



雪乃はどれだけ泣いても言わなかった。



和哉にはそれが悔しいけど嬉しかった。



「雪乃が生きる事を諦めてなくて良かった・・・・。雄大と恋に落ちてくれて良かったよ」



雪乃はずっと心に引っかかていた・・・和哉は果たして許してくれるだろうかと・・・。



自分と雄大の関係を・・・許してくれるだろうか・・・それだけが不安だった。



「良いの・・・私・・・雄大君と・・・・」



いつまでたっても泣き虫な雪乃に、和哉は頭をかく。




「良いも何も・・・それは二人の気持ちだろう?俺はもういないし・・・ただ雪乃の夫として一言言えるなら・・・・雄大以外は嫌だ」



雄大だから・・・負けを認めれる。



すると和哉は思い出すように話し出す。



「ずっと見てたよ・・・雪乃が泣くところも・・・あの日海に入る所も・・・・雄大とギクシャクするところも・・・・」



そこで言葉を切ると、雪乃の大好きだった笑顔を見せてくれる。


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