色をなくした世界
「雪ちゃん・・・良かった・・・雪ちゃん・・・」



雄大が雪乃を呼ぶ声を何度も夢の中で聞いた。



「夢の中で・・・雄大君の声が聞こえたよ・・・雪乃って呼んでた」



大事な人だけに呼ぶことを許した名前・・・。



「雪乃・・・逝くな・・・って・・・だから戻ってこれたの・・・・」



雄大の声がなかったら・・・雪乃は和哉と逝っていたかもしれない。


それを聞いた雄大は雪乃に抱き着き泣き続ける・・・。


「もう戻ってこないかと思った・・・和哉が連れて行くんじゃないかって・・・・雪ちゃんもそっちに行くんじゃないかって・・・不安で・・・不安で・・・」



気が狂いそうだった。



「ふふふ・・・・・」



雪乃の懐かしい笑い方に、雄大の心も少しだけ落ち着く。



「和君に会ったの・・・・」



信じられないかもしれないけどね・・・・。



そう言って雪乃は雄大に夢の中での出来事を話してくれる。



それは信じられないような話だったが・・・雪乃の最後の言葉で雪乃は和哉に会ったんだと理解した。
< 196 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop