色をなくした世界
色とりどりの世界
和哉は・・・手紙があれば・・・・どこかで自分が和哉を引きずってしまうと・・・気付いていた為かもしれない。


「雄大君と幸せにって・・・そう言ってた・・・」


いつまでも祈ってると言ってくれた・・・・。


「雄大君・・・聞いてほしい事があるの・・・」


本当は和哉のお墓の前で・・・和哉にも聞いてもらおうと思っていた事・・・。



でも本物の和哉に会えたから・・・今ここで言っても良いだろうと思う。



雪乃の真剣な瞳に、雄大の目も真剣なものへと変わる。



「私はね・・・和君が死んでから、色のない世界にずっといたの・・・・自分は生きてるのに・・・和君がいない。それは私には死んだも同然の世界だった」



あの時和哉が現れていたら・・・確実に付いて行っていた。




「でもね・・・その世界にだんだん色が付いて行った。空には青が、太陽には赤が・・・雲には白が・・・・それはね・・・雄大君が着けてくれたものだった」




誰でもない・・・雄大がいたから・・・・。




「死にたいと思った私に・・・生きる力を、生きていく未来をくれたのは雄大君だった。雄大君が生きろと言ってくれたから・・・いつでも側にいてくれたから・・・私はここにいられる・・・」





そこで雪乃は雄大の目をきちんと真正面から見る。
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