色をなくした世界
「何か迷惑かけてばっかりだよね・・・・」


しかっりしなければと思えば思う程、空回りしているような気がする。


きちんとしたいのに、できない自分に腹が立ってくる。


「和君がいた頃・・・もっと周りを見なきゃって言われてたのに・・・言われなくなると忘れてダメだね・・・」


笑顔が作れない・・・。


和哉がいれば、和哉に愚痴を聞いてもらえたのに・・・。そんな事さえ考えてしまう。

自分がいかに和哉に頼って生きてきたか、短い時間で、何度も何度も痛感した。


雪乃の涙が目から零れ落ちた時・・・雪乃は雄大の胸の中にいた。


「しっかりした雪ちゃんなんて雪ちゃんじゃないよ」


頭をポンポンと叩くのは、雄大の癖だった。


「和哉だって、雪ちゃんがしっかりしてたら、落とすチャンスなんてなかったかもしれないだろ?」


大学時代何かとドジる雪乃を、和哉が助けてくれていたことを思い出す。


「そうかも・・・でも・・・」


もう和哉はいないから・・・。


「しっかりしなきゃ・・・いけないんだよ」


優しさに甘えていては、一人で生きていけない。


「そんなに気張ってても疲れるだけだろ?ほら、笑いなよ?」

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