色をなくした世界
「いきなりどうしたの・・・?真顔で言われたら恥ずかしいんだけど・・・・」


慌てふためく雄大が面白くて、雪乃は更に続ける。


「言いたくなったの。雄大君がいてくれて私は幸せだよ・・・?」


和哉がいなくなった後・・・雄大がいなければこんなに早く元気にはなれかった。


(迷惑ばかりかけてきたしね・・・・)


ずっと好きだった雪乃に言われた一言に、雄大は自分が抑えられなくなりギュッと抱きしめる。


雄大が自分の事を好きだと知らない雪乃は、ビックリしたもののまたふふふと笑うと、抱きしめ返す。


「雄大君温かい」


雪乃がそう囁いた時、扉の所ですごい咳払いを聞いた。


バッと二人そろって振り返れば・・・バツの悪そうな梓が立っている。


「ちょっと・・・私以外が見たら誤解するようなことを、こんな扉開け放ってやるのやめてくれる?」


・・・・確かにその通り。


退院の日に男と女が抱き合っていれば・・・誰だってそういう関係かと思うだろう。


「ごめんなさい」


雄大と雪乃が同時に謝れば、梓はもうと言いながら、扉の向こうを指す。


「雪にお客様。私たちで車に荷物積んどくから行って来たら?」
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