色をなくした世界
会社に行ってみれば、会う人会う人に「いつもと違うね」と声をかけられる。


(そんなにいつもと違うかな?)


雪乃は不思議に思っていると、雄大が缶コーヒーを手渡してくれる。


「今日はどこか行くの?」


前とは違い、少しだけ距離を取りながら渡してくる雄大に、雪乃は寂しい気持ちになる。しかしそれを顔に出すことなく缶コーヒーをもらう。


「アズとご飯食べに行くの!ちょっと良い所だから・・・このワンピース。最近来てなかったから・・・何か恥ずかしいね」


ワンピースの裾を掴みながら、雪乃は恥ずかしそうにうつむいている。


「似合ってるよ?ってか時間は大丈夫?」


雄大が時計を指せば、雪乃の顔が変わる。


「やーばーいー。アズがもう来てるかも・・・。じゃぁ雄大君お先に。コーヒーありがとうね」


お礼だけ告げると、雪乃はロッカーへと走って行った。


途中何かにぶつかる音がしたので、どこかに足でもぶつけたのだろう。


雄大がボーっとしていると、青山が通りかかる。


「さっき雪乃ちゃん転んでたぞ・・・・」


そう告げると去って行く。


(ぶつけたんじゃなく・・・・転んだのか・・・雪ちゃんらしい)



傷が増えない事を祈るばかりだ。
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