色をなくした世界
「汚いけどどうぞ」

雪乃が案内してくれたのは、梓と共同で使うリビングだった。


「誰かと一緒に住んでんの?」


一人で住むには広い部屋に、一瞬亡くなった夫と住んでいた家か?と思う。


「そうだよ。さっきいた梓って子と住んでる」


女子の方の幹事だった子だよと説明する。


一馬もさっきの合コンで、雪乃以外に覚えている女子だ。最後雪乃と出て行く時、一馬を睨んでいた。


「あぁ・・・あの派手な子?」


梓を表すのに一番ピッタリな言葉・・・派手。


「そう一番派手な子。コーヒーで良い?」


雪乃がキッチンに向かいながら聞けば、一馬はすぐに帰るからと断る。


「コーヒーくらい飲んで行きなよ」


慣れたもので雪乃はコーヒーを入れ始まる。


それを見ながら部屋を見れば、清潔感のある暮らし方が伺える。


そんな中・・・そこだけ異色だった。



若い女の子の部屋には不似合いな・・・・遺影と位牌が置いてあった。花は毎日変えているのだろう。綺麗に咲いている。


しかし一馬は遺影から目が離せない・・・


「俺に・・・・」
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